安静にしていたのに、肉離れが完全に治っていないとしたら、以下の3つのことが考えられます。

  1. 肉離れをしてしまった根本原因が解消されていない
  2. 肉離れをした箇所の筋肉の柔軟性が取り戻されていない
  3. 復帰をするタイミングが間違っている

これら3つをきちんと押さえて治療ができていれば肉離れは、痛みや違和感、再発の恐れはなくなります。

それでは、以下で順番に説明していきます。

肉離れとはどのような状態なのか?

肉離れの症状としては、

  • 運動中、「ブチッ」という音が聞こえて、痛くて動けなくなった
  • 突然、痛くなり、腫れてきた。痛みがだんだん強くなってきた
  • 歩くと少し痛い。痛みはないが張りを感じる。(軽症)
  • 強い痛みで歩くのが辛い。内出血がある(中程度の症状)
  • 歩けないほど激しい痛みがある。押すと痛む。痛むところがへこんでいる(重症)
  • 治ったと思ったら、また、同じところを痛めることを繰り返す

などが挙げられます。普段、運動をしていない人が急に動いた時も、普段からトレーニングを積んでいる人にも起きます。治っても再発しやすいと言われている症状です。

なぜ、肉離れは安静にしていても治り切らないのか?

肉離れは、筋肉に疲労が溜まっている状態で脳が筋肉に送る「縮め」という指令と実際の筋収縮のタイミングのズレがおきてしまい瞬間的に多大な力が筋肉にかかったり、予想外の動きによって、筋肉が限度を超えて引き伸ばされたことによって「ブチブチッ」と筋繊維が切れてしまった状態です。

肉離れ

こうして切れた筋肉は、自然にくっついて回復していくのですが、この回復する際「もう二度と、引っ張られても切れないように」とより強く硬くなってくっついていく性質があります。

強く硬くなってしまった筋肉は、上手く伸び縮みできないために痛みや違和感に繋がります。そして、この柔軟性を失ったままでプレーを始めると同じ箇所の肉離れを繰り返してしまうのです。

あなたが肉離れをしてしまった根本原因を見つけることが大切

もしかしたらここまでのお話は、インターネットなどで調べてすでに知っていらっしゃるかもしれません。

しかし、筋肉を柔らかくするためにマッサージやストレッチはやっているけれど「やっぱり動くと痛みや違和感が出て、治りきらない」そんな状態ではないでしょうか?

それは、肉離れを起こした根本的な原因を解消できていないからです。

肉離れはふくらはぎや太ももの裏など足に起きることが多いですが、そのような患者さんに多いケースとして、足の指や足首の柔軟性が失われて肉離れに繋がっているケースがよくあります。

足のアーチの画像

このように私たちの足の裏には、3つのアーチがあり、そのアーチによって地面からの衝撃を吸収しています。

しかし、足の指や足首周辺の筋肉が硬くなってしまうと、このアーチ機能が失われてしまい、地面からの衝撃を吸収できなくなります。吸収しきれなかった衝撃は、ふくらはぎや太ももの筋肉に直接負荷をかけるようになり、筋肉に疲労が溜まりやすくなります。

そのような状態が続き、ある時ピークがくると肉離れを起こしてしまうのです。

ですから、肉離れを起こした患部だけでなく、そこに繋がる筋肉の柔軟性や動きが悪くなっている関節の可動域も取り戻していくことが大切です。

人によって筋肉が硬くなっている場所は違いますから「肉離れ」とひとくくりにして一般的な原因に当てはめて治療をするのではなく、なぜあなたの肉離れは起きてしまったのか?をきちんと考えて治療をすることが大切です。

私たちは、実際に問診や施術をしていく中でその方の肉離れを引き起こしている原因を探っていきます。その原因がきちんと解消されれば、どんな状態の肉離れでも改善して、再発も防ぐことができます。

治療法としては

①アイシング
②湿布
③病院や接骨院でおこなう電気治療
④マッサージ、指圧
⑤ストレッチ

などが挙げられます。

内出血をしている場合は、その出血を止めるためにアイシングが必要ですが、内出血が止まった後は冷やし続けることで筋肉を硬くしてしまいます。また、冷やすと血管が細くなり、酸素と栄養分が患部に十分行き渡らず、自然な治癒のプロセスを阻害してしまいます。

ですから、内出血が止まった後は、お風呂などで温めていくことが大切です。その後、治療やケアをおこないながら復帰をしていくのが望ましいと考えています。

肉離れを良くするために一番大切なことは、筋肉の柔軟性を保ちつつ回復させることです。そのことで、痛みが早期に回復して、再発予防にも繋がるのです。

そして、私たちが肉離れの患者さんを診ていて感じることは、その方によって体の状態や痛みに関係している原因、場所が違うため、全員同じように治療していては肉離れの原因は解消できないということです。

ですから、肉離れという“症状”だけ見るのではく、その人を見ることが大切だと考えています。どんなスポーツをやっていて、どんな生活をしていて、どんな体の状態で肉離れをしたのか?など。症状は同じでも、その症状を引き起こしている人は違うからです。

一般的に言われていることをやってきて治らないのであれば一般的な肉離れの原因にそって治療をするのではなく、その人に向き合って治療をしていく必要があると考えています。

私たちは原因を探り、仮説と検証を繰り返して、その方と対話をしながら治療を進めていくことを大切にしています。上手くいけば正しい。上手く行っていないのであれば、何が治りを妨げているのか?などを一緒に考えていくことでどんな状態の肉離れでも改善することができます。

肉離れの治療は痛みがなくなってからが本番

ここまで肉離れをどのように治療していくと良いのか?をお話してきましたが、肉離れの治療で最も大切なのは、どのように運動や日常生活に復帰していくのか?ということです。

肉離れは、痛みがなくなった=治ったではありません。

もし、あなたが肉離れを繰り返しているのであれば、痛みはなくなっているけれど、筋肉の柔軟性が取り戻されていないため再発してしまっている可能性があります。

ですから、私たちは、その方の状態を見ながら復帰の仕方やタイミングも含めてアドバイスをしています。

その方の体の状態に合わせてケア方法も伝えていくので、再発防止にもなりますし、自分の体の動きが悪いところをケアできるので、痛くなる前よりも動きやすくなり、運動をされている方であれば、パフォーマンスアップにも繋がります。

この機会に体をしっかりと整えて、肉離れをする前よりも良い状態を目指していきましょう。

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